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ED(勃起障害)
勃起障害、現在その診断、治療で行われていることを記述します。どのような印象をもたれるでしょうか。EDは、人間がヒトとして生きるとはどんなことなのか考えさせてくれます。
ED(Erectile Dysfunction)とは
満足な性交渉をするために十分な勃起を発現できない、あるいは維持できない状態のことと定義されており、性欲の低下や射精障害等は含まれていません。
すなわちまったく勃起しないものだけではなく勃起はするが、不十分なものもEDに含まれます。
疫学的には日本には約1000万人の患者がいると推定されています。
病態による分類
機能的(心や精神の問題)と器質的(身体の異常)に大きく分類されていますが、その詳細を以下に示します。
- 1.機能性
心因性
精神病性 - 2.器質性
陰茎性
神経性
中枢神経
脊髄神経
末梢神経
血管性
内分泌性
その他 - 3.混合性
糖尿病性
泌尿器科的疾患
外傷および手術
加齢
その他 - 4.その他 薬物、脳幹機能障害など
原因
多くの原因がありますが、特定困難や複数の原因の場合も多くみられます。
- 1.加齢
- 2.慢性疾患
糖尿病、心疾患、末梢血管障害、高血圧、高脂血症、うつ病、肝機能障害、腎機能障害、慢性閉塞性呼吸障害 - 3.手術、外傷
頭部や脊髄、骨盤内の手術。また硬い自転車のサドルなどによる慢性的な会陰部の圧迫 - 4.嗜好品
タバコ、アルコール - 5.薬剤
抗不安薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗コリン薬、降圧薬、抗アンドロゲン薬、その他、麻薬
診察
問診
IIEF5とよばれる国際的なED問診表があり、スクリーニングや初診時の問診に利用されています。
問診においては薬剤、既往歴、合併症、生活歴について検討するのも重要です。
臨床検査
血液一般検査、血液生化学検査、尿検査、血液ホルモン検査
EDの原因を検索する目的およびバイアグラなどを処方する場合の適否判断に血液検査をする場合があります。
心臓血管系の問題が疑われるときはバイアグラ投与前に心電図や、負荷心電図、心エコー検査がおこなわれます。
泌尿器科的診察
泌尿器科的診察はED診療に必須なものではありませんが、以下の場合は診察が必要です。
- ・外性器そのものに異常がある場合
- ・外性器に二次的変化がみとめられるとき
- ・肛門付近の領域の神経学的診察を要すとき
- ・前立腺に問題が疑われるとき
特殊検査
機能性、器質性の区別や、バイアグラ無効例などで、さらに詳しい検査が必要なとき、以下の検査が行われますが、主として専門性の高い施設で行われます。
- 1.夜間陰茎勃起測定(スタンプテスト 巻尺様の陰茎バンドでの検査 リジスキャン)
夜中の陰茎の勃起を様子を測定するものです。
夜間レム睡眠と呼ばれる夢を見ている睡眠の時間帯には生理的に陰茎は勃起します。その勃起の発現の有無、程度を測定しEDの原因診断するものです。心因性のEDでは夜中はストレスから開放されるため夜間陰茎勃起は見られます。器質性では夜間陰茎勃起は現弱または消失します。
スタンプテストとは連続の切手を陰茎に巻きつけて睡眠し。朝ミシン目が切れているかみるものです。 メモリのついた巻尺様のバンドを陰茎に巻いて睡眠。翌朝最大勃起の太さを知る方法もあります。
リジスキャンとは陰茎の太さや硬さを夜間モニターする装置です。 - 2.カラードップラーエコー検査
ドプラーエコーとは医療の現場では血液の流れを検査するのに用いられますが、これを用いて陰茎への血液の流入の異常の有無を測定する検査です。 - 3.血管造影
勃起とは陰茎海綿体に血液が流入することと、陰茎海綿体に貯留した血液を流失しないように流失抵抗を高くすることで発現します。
この流入する血管の異常を調べるのが血管造影検査であり。流失抵抗の異常をしらべるのがDICCと呼ばれる造影検査です。血管造影検査は外傷や動脈の異常を調べることで血行再建術の術前検査として用いられています。
DICCは陰茎海綿体に注射針を刺し、勃起を誘起する薬物を注射。海綿体内圧を測定します。つづいて造影剤を海綿体内に注射しその流失の状態を観察し、血液流失の異常を調べます。
治療
体に負担がかからず、有効性の高いものから選ばれます。以下の治療が日本では行われています。
- 1.バイアグラ
バイアグラの出現でED治療はこれが第一選択となったといってもよいでしょう。 問診、診察で危険がないと判断された場合、まず内服を試します。バイアグラ無効の場合、検査を始めます。 (作用機序はバイアグラのページへ) - 2.内服薬
主に漢方薬が用いられます。心疾患などでバイアグラが処方できないときなどよい適応です。効果は20〜80%とされていますが、時に著効を示す場合があります。
八味地黄丸、柴胡加竜牡蛎湯 桂枝加竜骨牡蛎湯 補中益気湯 牛車腎気丸が使われます。 - 3.ホルモン療法
男性ホルモンが減少することで勃起障害となっている場合には男性ホルモンの内服または注射をすることがあります。性欲の亢進も見られます。中高年では男性ホルモンの投与は前立腺がんの危険があるので注意を要します。
泌尿器医の判断が必要です。 - 4.心理療法 ノンエレクト法
心因性勃起障害で行われる療法です。
勃起が得られず性交に失敗してしまった場合など、あせる気持ち、不安が勃起の妨げになる患者さんがに対し行われます。患者さんの不安を取り除く目的で考えられた方法。
勃起をさせないようにしながらパートナーと触れあうことなどからはじめます。詳細は省略します。 - 5.海綿体注射療法(ICI : Intracavernous injection)
陰茎海綿体に直接薬を注射し勃起を発現させる方法です。
注射薬にはプロスタグランジンE1,フェントラミン、パパベリンが使われることが多いのですが、プロスタグランジンE1の有効率は78〜90%とされてます。
指導により自己注射もおこなわれています。
副作用としては持続勃起症、陰茎海綿体の繊維化、疼痛、皮下血腫、感染、その他があります。バイアグラの出現によりこの治療の行われる機会は減少しましたが、バイアグラ無効の患者さんに行われます。
薬に対する健康保険の適応はありません。 - 6.陰圧式勃起補助具
円筒形の筒の中に陰茎を挿入し、その内部を陰圧にして陰茎海綿体に血液を貯留させ陰茎を勃起させます。この後に陰茎の根元をゴムバンドで締め付け勃起を持続させる方法です。
器質性、心因性どちらのタイプの勃起障害にももちいられます。
30分以内の性交終了という時間制限がありますが、74%の有効率との報告があります。
問題点は陰茎バンドによる痛み、冷たい勃起、途中で勃起が現弱すること、慣れが必要、射精障害、などです。 - 7.血管手術
動脈手術
陰茎の動脈が狭窄や閉塞を起こしてたことで勃起障害となっている場合、動脈の再建手術を行います。
静脈手術。
陰茎海綿体からの血液の流出による勃起障害のの場合、その原因は静脈の問題ではなく、海綿体の問題ですが、静脈を結紮する手術を行うことがあります。 - 8.プロステーシス
陰茎海綿体内にプロステーシスと呼ばれるポリエチレンなどの芯棒を手術で入れる方法です。陰茎海綿体を破壊し異物を挿入するため十分な治療前の検討が必要です。器質性勃起障害の患者が適応です、ほかのすべての治療法をその前に実施する必要があります。
プロステーシスに対する不満は、陰茎が細い、小さい、冷たい、表面がやわらかいなどです。
